『夏の高校野球』の情報配信基盤として
高信頼クラウド「スマートコネクト VPS」を活用
夏の国民的なイベント「全国高校野球選手権大会」の中継を手がける朝日放送。同社では、より多くの視聴者にどこでもリアルタイムで高校野球を楽しんでもらえるようにと、Androidスマホ向けアプリ/ウィジェットを提供している。ただし、国民的なイベントとも言える人気コンテンツだけに、その情報配信基盤には高い安定性と柔軟さが求められた。そこで同社ではNTTスマートコネクトのクラウドサービス「スマートコネクト VPS」を活用することで、デジタル時代にふさわしい高品質なサービスを実現している。
夏の高校野球選手権大会の情報をスマートホンへ配信
インターネットやデジタル情報機器の普及が進む中、メディア産業の中核を担う放送局でも、放送と通信を融合させたサービスを提供する動きが強まっている。関西の大手テレビ局である朝日放送でも、番組コンテンツの制作や視聴者クイズ、アンケートの実施など、多方面にわたる取り組みを展開している。
「特に最近注力しているのが、スマホに代表されるモバイル分野です。番組を観ながら手軽に操作できるモバイル端末は、テレビメディアとも非常に親和性が高い。こうした機器を利用される方は今後もますます増えることが予測されるため、当社としてもマルチデバイスへの対応やモバイル向けコンテンツの拡充を図っています」と同社の赤藤 倫久氏は説明する。
そうした取り組みの一つが、同社が放送を手がける夏の全国高校野球選手権大会に関連したサービスだ。Webを利用した情報配信に続き、試合のスコアなどがリアルタイムで確認できるAndroid用ウィジェットアプリ「高校野球速報ウィジェット」を開発。2013年にはハイライト動画やアルプススタンド映像、視聴者の声などが見られる「高校野球速報アプリ」としてリリース、実に6万件以上のダウンロードを達成している。
「スマートコネクト VPS」で高い安定性と信頼性を確保
今回のサービスを提供する上では、コンテンツ配信基盤をどのように整備するかが課題となった。「配信用のサーバー群を物理環境で用意すると、ラックへの設置やソフトウェアの設定作業など多くの時間と工数が掛かります。また、夏の大会期間中がピークとなるサービスのために、ずっと設備を保持しておくのはコスト的にも無駄が多くなります」と同社の山本 和樹氏は語る。
そこで同社が目を付けたのが、クラウドサービスの利用である。必要な時に、必要なだけのリソースが確保できるクラウドなら、サービスの需要変動にも柔軟に対応でき、普段は不要な設備を抱え込んでおく必要もないからだ。
とはいえ、クラウドであれば何でも良いというわけではない。先述した通り、高校野球速報アプリ/ウィジェットを利用するユーザーの数は膨大で、大会期間中のアクセスも相当な規模に上る。しかも放送事業者が提供するサービスであるだけに、高い安定性と品質、信頼性を実現することが求められた。
そこで今回採用されたのが、NTTスマートコネクトが提供するクラウドサービス「スマートコネクト VPS」である。これは、NTTスマートコネクトの堅牢なデータセンター内に構築されたVPS(Virtual Private Server:仮想サーバー)を提供するサービス。24時間・365日の監視運用保守体制も用意されているほか、インターネットバックボーンに直結しているため高い品質を担保可能だ。今回のような高い安定性が求められるサービスにも安心して活用できる。
図)朝日放送における仮想マシン活用イメージ
■高い信頼性と品質を誇るスマートコネクト VPSと自社システムを連携させることで、
負荷増大や耐震障害性を向上。決勝戦でも安定してサービスを提供できた。
自社環境との一体運用を実現他システムへの展開も視野に
スマートコネクト VPSのもう一つの特長として、NTT西日本のネットワークサービスや学術情報ネットワーク「SINET」など、多様なネットワーク接続に対応している点が挙げられる。今回のプロジェクトでも、この特長を生かしてデータセンター内にハウジングされた自社システムとVPSをL2で接続し、シームレスに連携させている。
「自分が今使っているサーバーが自社環境なのか、それともクラウド上のVPSなのかをユーザー側で全く意識する必要はありません。負荷増大や障害などが発生した際には、自社環境とVPS間でシステムを移し替えるといったことも容易に行えます。これは非常に大きなメリットです」と赤藤氏は語る。また、サーバーをはじめとした設備が二重化されているほか、システム全体のバックアップとスナップショットによる世代管理を標準機能として提供しているため、トラブルが生じた際にも迅速にシステムを復旧。サービスの継続性を簡単に確保することが可能だ。
NTTスマートコネクトのサービス・サポートについても、高く評価している。「クラウド利用で心配なのが、困った時のサポートです。メールなどのやりとりだけでは、十分な情報が得られないことも多い。その点、NTTスマートコネクトは問い合わせなどへの回答も迅速かつ丁寧で、大いに助けられました。また、システムの設計時にも技術的なアドバイスをいただけたほか、今回のサービスに必要なリソースを正確に算出してくれました」と山本氏は満足感を示す。
スマートコネクト VPSの採用により、当初の目的であった安定的な情報配信を無事実現。最も負荷の高まる決勝戦などにおいても、問題なくサービスを提供することができたという。この成果に手ごたえを得た同社では、他の分野へもVPSの適用を拡大していく構えだ。
「現在社内環境で運用している他の業務サーバー群についても、今後VPSへの移行を進めていきたい。これによりハードウェア保守は不要になりますし、運用管理工数やコストの削減にも役立つと見込んでいます」と赤藤氏は今後の展望を語った。
当記事に記載されている内容は、2014年1月現在のものです。